サイバーエージェント須田さんの記事。
とてもいい話。一読をオススメします。
だけど、
では、今日の経済状況下で、広告主に向かって「テレビCMよりも従業員の方々の雇用を守ることのほうが、御社のブランド価値向上のためには得策です」という提案を広告マンはできるのか。
この問いかけを、広告という産業が今、突きつけられているように思います。
というのは実際にはそうだとしても、広告代理店(広告マン)が言うような話じゃない。
この手の話は社内で検討し、決断すべき話。
そういう意味では、CMOの不在を嘆くひとつのトピックなのかもしれない。
たしかに広告で訴求できるプラス効果よりも、リストラ報道によるマイナス効果のほうが大きいかもしれないし、たぶんほとんどのケースでは大きいと思う。
とはいえ、金額にしたらたぶん比較にならないのも事実。単年度ならともかく、数千人単位のリストラは、広告を止めたくらいじゃ穴埋めできない。
例えばソニーの記事。
ソニーは9日、全世界で1万6000人以上の人員削減や生産拠点の統廃合などを柱とするエレクトロニクス(電機)部門のリストラ計画を発表した。人員削減には約8000人の正社員を含み、生産拠点は5、6カ所減らす。設備投資の圧縮と合わせ、年間1000億円を上回るコスト削減を狙う。世界的な景気後退や円高で同社の業績は急速に悪化している。大規模リストラで収益構造の抜本的な見直しに取り組む。
こないだの『週刊ダイヤモンド』に掲載されている、日本の企業別広告宣伝費(07年度)のデータによれば、ソニーは10位以内に入っていない。10位の日産自動車が396億円だから、400億円以下なのは間違いない。ワールドワイドでも1000億円前後だろう。
実際には子会社も含んだ数字なのかとかいろいろ甘いデータなんだけど、広告宣伝費を全部カットしたら雇用は守れるかもしれない。それで売上が維持できれば。さらにみんなが給料アップを望まなければ。
ホンダのF1撤退(年間500億円規模)は、研究開発費としても、ある種贅沢な使い方なので手をつけるのはわからなくもない。「雇用を守るため」というポジティブなメッセージを発信してたしね。
でも大手企業が雇用を守るために広告出稿をやめちゃうというのは、現実的にはあり得ない選択肢なんじゃないかなあ。
効果の不透明なテレビCMにどかどか出稿しなくなってるのは景気以前の話なので、それは今後も続くと思うけど、「広告出稿をやめたほうが得策です」というのは、コミュニケーション戦略上は正しくても、企業の存続リスクが高まりそうな気がする。
特に今はメディアが値下げに応じてくれやすくなってることもあるので、ぼくがCMOなら雇用を守るための広告出稿(売上げ獲得)という選択肢を考えたい。
なんか珍しく広告推進派みたいになってるけど。
ただ、同時に
もちろん、つくった商品をお知らせする、という従来型の「狭義の広告」は、これからも存在し続けるでしょう。しかし、よりメインの、広告、もしくは、マーケティングの役目は、商品ができました、それではこれをどう売りましょうか、という「どう売るか?」の部分を担当するだけでなく、生活者とコミュニケーションを取りながら、時にいっしょに商品をつくったり、それを広めたり、といったことに巻き込んでいく、そんな方向に進んでいくように思います。
という部分には完全に同意で、広告というものをマーケティング(あるいはコミュニケーション戦略)の一部として認識しているかは今後ますます問われるようになる。
予算の占める割合が大きかったり、担当部署がブラックボックス化を自ら望んできたために、広告宣伝は独立して運用されがちなんだけど、これからはそんなやり方では儲からない。
だから広告代理店や広告マンとべったり付き合うんじゃなくて、その予算を誰に任せるのが本当に意味があるのかを考えられる人を企業内に育てていかないといけない。
まあぼくは会社員じゃないので「企業内」とか言ってても説得力がないんだけど、そういう人をひとりでもたくさん排出するために、自分の立場でできることをしていきたい。
[追記]
ちなみに連結ベースではソニーの広告宣伝費は4,686億円らしい。
これも国内の数字だと思うので、ワールドワイドで考えたら、広告宣伝費を数割カットする程度で、従業員を数千人くらい救えるのかもしれない。











コメント(9件)[コメントだけのRSS]
その広告宣伝費だったらほんのちょっと削減するだけで十分ですねえ。
あとは役員とか経営関係の人の給与をもう少し現実的なところに落とすとか。
体のいいこじつけって感じでいやな空気ですねえ。ますます雇用環境が厳しくなるなあ。
投稿者: ムムリク | 2008年12月10日 17:40
数字の読み込みがちょっと甘いまま書いちゃってますけど、まあ原油高を理由に値上げした企業と同様に、今の不景気をある種のチャンスと捉える企業が多いのはしょうがないのかもしれません。
とはいえ、優しくない世の中だなあとは思いますけどね。
投稿者: 河野
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2008年12月10日 17:56
>生活者とコミュニケーションを取りながら、時にいっしょに商品をつくったり、それを広めたり・・・
楽しそうですよね。企業とユーザーの距離が本当に近い、というかお互いに向き合ってる環境というか。そういった企業とユーザーのよりインタラクティブな関係作り。すいません、[PGM]のパクリっぽいですけど、企業とユーザーのパートナーシップって、やっぱりものすごい大事なんじゃないかと思います。
投稿者: 平田睦 | 2008年12月10日 19:41
ありがとうございます!
全体戦略の上で、本当に適正な広告宣伝費を使用しているかはもっと議論されるべきなんでしょうね。(広告宣伝費だけじゃもちろんないと思いますが)
時間があるときに、それぞれの企業のコスト構造をみて、期待される削減効果を算出してみようと思います。
>ぼくがCMOなら雇用を守るための広告出稿(売上げ獲得)という選択肢を考えたい。
言い切れるなんてカッコイイです!
私もそう言えるようになりたい。
投稿者: はせがわ | 2008年12月10日 20:11
外からじゃ見えない事実が多すぎて、シーズン前の優勝予想をするプロ野球評論家程度のレベルでしか話ができないと思います。
まあ、単純に広告出稿を止めればいいってもんじゃなくね? ってことを言いたかっただけなので、詰めが甘いのは自覚してます。
投稿者: 河野
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2008年12月10日 20:39
いや、ソニーといえど、そんなには
広告費はないはず?
投稿者: 匿名 | 2008年12月11日 02:53
日経広告研究所が発表してる4,686億って数字は連結ベースなので、SCEとかソニー・ピクチャーズエンタテインメントとかソニーBMGとかを含んだものでしょうね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%BC
なので、今回のリストラとの釣り合いで考えれば本体の広告宣伝費だけで見たほうがいいと思います。
投稿者: 河野
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2008年12月11日 07:14
雇用を維持するコストが、賃金だけっていうのは、少し甘すぎる見積りのような気がします。
解雇されたのは、多くは生産ラインに携わっていたと思われるので、
雇用維持のコスト=人件費+生産ラインを動かすコスト+不良在庫の積みあがりコスト
と考えるべきでは?勿論、皆さんが「今回の解雇対象者を自宅待機にして、今までの給料の7~8割を支払う」という対応を念頭に議論しているのなら別ですが。
投稿者: 通りすがり | 2008年12月11日 07:54
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思います。
でもまあ日経の記事では今回のソニーのリストラは人員削減だけじゃなくて、「設備投資の圧縮と合わせ、年間1000億円を上回るコスト削減を狙う」ってことなので、生産ラインの話は含んでると理解しています。
(当然、正社員も含んでいるので雇用保険とかも入ってるでしょうし、地代家賃の削減も含んでるでしょう)
個人的には過剰な広告なら止めればいいけど、雇用対策のために広告を止めるのは賛成してません。
ぼくの主張は予算の最適配分を考える人間がちゃんと社内にいるのかってことだけですね。
投稿者: 河野
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2008年12月11日 08:35