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広告=作品論の是非

石橋くんのブログより。

うまいこと言った広告、うまいと思わせる広告と、売れる広告は違う。

広告評論の欺瞞、それを私は次のように告発する:おまえはその広告を褒めているが、その広告を見て商品を自腹で買ったのか?

うん、たしかに。
たとえばDHCとか、売れてる本をパクっただけの(企画からバナー制作まで)30分で作ったような広告だけど、売れてるらしい。うん、ぼくも売れそうな気がしてた。

広告は芸術作品じゃない。
このDHCの広告でカンヌは穫れないけど、確実に売上に貢献している。そしてほとんどの経営者は名誉よりも実益を優先する。

ただ、ひとつだけ付け加えておきたい。

この手の議論(広告は売上に繋がらなきゃ意味がない)は正論だし、その通りだとぼくも思う。でも同時に、これはリスティング広告の普及に伴って過剰に一般化しすぎた考え方だとぼくは思っている。

ここで「ブランディング」というマジックワードを使うといきなり萎えるんだけど、ダイレクトマーケティングというか、この手の短期的な販促目的の広告だけが広告ではないし、それでは先細りしてしまう。

広告には「明日の顧客を作っていく」役割があって、さらに今のネット社会の場合は「敵を減らす」役割もあると思う。
とくにUNIQLOCKは後者の点で優れたアイデアで、「安かろう、悪かろう」で評判がいいとは言えなかったユニクロという企業イメージを、「先進的でなんかおもしろいことやってる」というポジティブなイメージに上書きすることで、ネット上の批判的な意見がかなり減ったのではないかと思う。詳しくは調べてないけど。
(このイメージ刷新の実績はブックオフオンラインでも、その他の企業でも参考になるはず)

なので空気を作る広告も意味がなくはないし、ある程度のお金をかけるべきなんだけど、ただこの場合も将来的に(それもそんなに遠くない将来に)ちゃんと売上に貢献しなければ意味がない。

いわゆる広告批評家たちは、中長期的な売上のことすらたいして考えてないことが問題なのであって、そういう人(や会社)にはお金を払う価値がない。

昔、田原総一郎がサンプロかなんかで「右翼と左翼がいて、はじめてバランスが取れるんだ」と言っていた。ぼくはそのコメントにすごく納得したのを覚えている。

広告=作品論と、その否定論は極右と極左な感じがしていて、大事なのはきっとその間にある。今はまだ広告を絶賛する人の声が大きすぎるので、反対派がもっと増えたほうがいいんだろうな。
マーケティング畑の人はわりと実利優先な人が多い気がするんだけど、それも誤解でけっこう広告大好きな人が多いから、話があわないんだよねえ。

[追記20080120]
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コメント(9件)[コメントだけのRSS]

はじめまして。いつも楽しみに拝見しています。

>広告には「明日の顧客を作っていく」役割があって、

この部分が特に共感できます。反対にDHCのようなバナーのCTR,CVRには全くの興味も持ちませんが、ただ、広告には色んな役割があると思いますし、自分の立っている位置で見る観点、評価が変わってきますね。

doumoriさん、コメントありがとうございます。
ぼくはお金を出す側(広告主側)にいるので、基本的には短期的な売上を求めています。
ただそれだと先細りなので「明日の顧客を作るために」広告や広報の予算を使うわけですが、残念ながら多くの提案は「目先の話題」のための提案でしかなくて、これでは(短期的にも中長期的にも)売上に繋がりません。
そういう人が相対的に多すぎるのが問題ですね。

売るための広告もあるし、知ってもらうための広告もある。商材の性質・マーケの中のランク・プロモーション全体の中での位置など、さまざまなものがある…。商品の特徴が明確ならば、売り線の広告にするし、特徴がないなら、イメージ的になる。昔パルコのコマーシャルが一世風靡したけど、あのファッションビルがなんとも中途半端で,やりようがないから、ああなったんですよね。
いまだに文化人をきどってマスコミに出る元編集長氏をみると、唖然とします。

スポンタ中村さん、コメントありがとうございます。
広告の役割はたしかにいろいろありますね。商品によっても、その成熟段階や市場での位置づけによっても。
広告で感動してもモノが売れないので、もし広告が人の感情を動かすことができるなら、欲しくなるように動かしてほしいものですね。

初めてコメントさせていただきます。

>マーケティング畑の人はわりと実利優先な人が多い気がするんだけど、それも誤解でけっこう広告大好きな人が多いから、話があわないんだよねえ。

営業部門の強い会社と、宣伝部門の強い会社とで(強いというのは、社内での発言力という意味で)、マーケターの性質も違うような気がします。
営業系の人とかだと、広告に対して実利を優先させる傾向があるんじゃないでしょうか。

それと、私はDHCさんとは同業界に住んでいるんですが、DHCさんのある意味発想・行動の柔軟さには驚嘆します。
確かに30分で企画・制作できるような広告なんですが、「こんなの誰もやらないよ」と普通の会社なら3秒でボツになるようなことを、平然とやってのける凄味がある気がします。そしてそれを支持したりクリックする客が多数いるというのも厳然たる事実。
ものすごく安直なことなんだけど、誰もやらないことをやってウケている。
なんとなく、「最近のTV番組はくだらない」と言われつつ視聴率をとっているような番組と、共通するところがある気がします。良し悪しは別問題として。

連投スミマセン。先のコメントで言葉足らずのところがあったので補足です。
マーケティング畑の人でも、マーケティングをきちんと戦略的に構築・実践できる人は、広告クリエーションに対しても戦略的視点で意見を言うことができると思います。
それができる人材が日本にどれだけいるのかはわかりませんが。

wackyhopeさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、DHCには
> 平然とやってのける凄味
があるとぼくも思っていて、その勇気がなにより素晴らしいですね。獲得重視と割り切って、徹底してやり抜くのはすごい。

あと人材については本来マーケティングって、営業系とか宣伝系とかと関係なく、独立してあるべきなので、そういう組織でまともなマーケターが育つわけもなく、ちょっとかわいそうですね。
実際ぼくも経営のフィールドを体験してから、自分のマーケティングスキルが飛躍的に向上したと思ってて、だからこそブランドマネージャー制度は有効なんだけど、それを認めない組織が多いので、人材を育てる環境としてはけっこう厳しいものがありますね。

こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
これは、とても、いい論議ですね。

実際は河野さんや山本さんのようなマーケティングの本質を理解し追及する人・企業の絶対数は極めて少ないのが一番の課題ですね。
厳密に言うと考えて実行できる人・環境、その評価が不足しているというか。
短期的にこの状況が、変わるとも思えず。

ただ収益化部分やユーザーごとのライフタイムが見えやすいデジタルコンテンツの分野(ほぼほぼ携帯コンテンツですが)では、デジタル、マス、それぞれのクリエイティブ、時期、施策などに対する効果指標の研究は進んでいて、中/長期での指標も持ち始めてます。例えばCMで獲得したユーザーの短期CPAや、登録期間、過去登録経験のある顧客比率などからの中長期でのCPAも判明してきているというか。ECが持つ指標とも近いですがリアルでの売場(店舗)がない分、指標を持ちやすいこともありますね。

ライフタイムコミッション型のアフィリエイトがなんとなく分かりやすい事例なのですが、クリエイティブ分野も売上に対する効果指標を持ち、顧客生涯価値からの成果報酬でも食えるくらいのマーケティング感覚を持つとおもしろいんですが。

もちろん売上以外の目的(ユニクロックなどのイメージ刷新とか)も、告知する企業側は持っているわけで、あらゆる目的対施策の効果指標の研究が進んで欲しいなと思います。


onedoveさん、コメントありがとうございます。
たしかにケータイコンテンツとか、会員制のモデルは効果測定しやすいし、進んでますね。ニフティでもLTVの分析とかやってました。ECは毎月買うわけじゃないので、このへんが難しかったりしますね。

このへんの分類とか研究を業界を超えてディスカッションできる環境を作っていきたいですね。

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