さらっと読めた。遅読のぼくにしては珍しく3時間くらいで読めたかも。ひとつひとつの話がそんなに長くないし、本の体裁としても(文字の大きさとか行間とか)じつに読みやすい。
これを読んで飲食店をやりたいと思ったら、それは森さんが言うところの抽象化ができてないわけで(恥ずかしながらちょっと飲食店やりたいと思ったんだよね)、自分の本当の欲求は飲食店をやることなのか、なんでもいいからお店を持ってサービス業をしたいのか、自ら職業を、さらには人生を選択することなのか、そこをきちんと明らかにしないといけない。
ちょっと稼いじゃったIT社長はすぐカフェとかやりたがるんだけど、まあそういうのを半分バカにしつつ、半分は羨ましいと思う自分もいたりするわけで、やっぱり飲食店のオーナーってのはそれなりに魅力がありそう。
この本を読みながらも、ぼくが自分で店をやるなら絶対禁煙だなあとか、お酒も泥酔する人が出ないようにひとり1杯だけにしようかなあとか、言ってみれば「節酒禁煙」みたいな店にしたいなとか、どうでもいいことを考えたりしていた。
で、余談が長くなったけど、この本はカフェの始め方について書かれた本ではない。そういうこともわりと丁寧に書いてあるんだけど、それを読んでぼくが感じたのはカフェをやるのは体力的にかなりきつそうだなってことくらい。
それよりも自分が大好きな人が、心からくつろげる空間を作るという、究極のサービスは自分を幸せにするんだということ。タイトルにある通り「生き方」を考えるための本。
けっきょくのところ仕事ってのは人生を豊かにするためのものでしかなくて、その意味においては年収以外にも仕事を選ぶ理由はたくさんある。少なくともぼくはそう思っているし、彼らもきっとそうなんだろう。
彼らの言葉にはいくつも共感するところがあったんだけど、少しだけ紹介。
私は、私というお客様をもてなしたい(P.102)リトルスター・レストランで、私は、私というお客様をもてなしたい。私みたいな人は、ほかにもいっぱいいるはずだ。どんな人にも百パーセント好かれるお店をつくるのは無理。全員に好かれようとしても、結局、誰にも好かれない。けれど、自分が本当に好きなものを追求していれば、いつのまにか多くの人が受け入れてくれるようになる......。私はそのことに、だんだん気づきはじめたのです。
これはマーケティングの原則ですね。とくにいまはどこで買っても同じような商品・サービスばかりなので、「どこで買うか」を決めるのは価格か信用。いちばん安い店を目指すのは体力勝負になってしまうので、多くの企業は価格と品質の妥当性(納得感)を顧客に提供する方向で進んだほうがいいし、その最初の顧客イメージは自分自身であるべき。crossreviewも「ぼくが使いたいサービス」として作ったし、clipmailもそう。自分がヘビーユーザーになれないなら続けるのは苦痛でしかない。提供者が苦痛なら、そこに幸せな空気が生まれることはない。
「万人に愛されることはムリ」――そこからはじめるのは大事なことですよね。
(だからぼくの座右の銘は「ぼくはぼくとぼくの好きな人のためにがんばる」です)
もうひとつ。
「感じがいい」ということ(P.179)うちのスタッフには、お客様とは「友達のお友達」くらいの距離感で接することを意識してもらっています。マニュアル的に感じられるほど遠すぎるわけではなく、ベタベタした感じがするほど近すぎるわけでもない。直接の友達ほどくだけた関係ではないけれど、まったくの他人というわけでもないから、礼儀を保ちつつ、親しみを込めておもてなしする。それが「友達のお友達」という距離感です。初めてお店にいらっしゃったお客様に対しては、そういう距離感で入りながら、徐々にその人その人に合った距離感に調整していく。ホールスタッフにもそれぞれ個性がありますし、人と人との相性がありますから、その距離感はスタッフが自分自身で測るしかありません。お客様との適切な距離感を教えるのは、なかなか難しいことです。
この距離感の話、喩えとしての「友達のお友達」というのはすごくしっくりきた。カスタマーサポートでもこれを意識することで何かが変わるかもしれない。
というかぼくが自然と取っていたお客さんとの距離感はなるほど「友達のお友達」だなあと言われて気づいた。なるほどなるほど。
残念ながらリトルスターレストランは儲かってるわけではなくて、たぶんぼくよりも年収が低いんだろうと思う。もちろん繰り返しになるけど、年収の多寡なんてのは些末な話ではあるんだけど、オーナーが本書で書いている通り人を雇っている以上は従業員にたくさん給料を払いたいし、設備投資ももっと金をかけたい。
だからこれがビジネスとしての成功かというと、参考にはならない。ここまでやると収入(というよりも利益)の面で、かなり我慢しなくてはならないというひとつの事例にはなるけど。
だからこの本を読んだぼくらは(少なくともぼくは)、こういう「主義」とビジネスの両立を追求しなくちゃいけなくて、ザッポスなんかはそれをうまくやってるようだけど、このへんは個人としても、関わる会社においてもがんばらないといけない。
それにしても「リトルスターレストランのつくりかた。選んだのは、職業ではなく、生き方だった。」ってのはいいタイトル(とサブタイトル)ですね。
三鷹はかなり遠いけど、今度行ってみよう。
本の中にも登場してたんだけど、Movable Type使ってくれてるんだよねー。
[追記]
去年の年末にululunさんのブログで紹介されてたので買って読んだけど、すごく良かった。感謝。











コメント(3件)[コメントだけのRSS]
三鷹に来るような事がありましたら是非是非。
お店は微妙に(かなり、かも)わかりにくい場所にありますので、お時間あうようでしたら声を掛けてくだされば一緒にお昼など。
投稿者: ululun | 2010年1月18日 09:34
こんにちは。
三鷹で生まれ育ったのですが、
書籍は読んだことなく、
詳しいお店の背景はしらないのですが、
お料理は美味しいです!
リトルスター。
三鷹も遠いのですが駅からも若干、距離があり
周りは住宅街なのでアットホームなお店ですよ。
たばこも吸う人はおらず(たまたまかも)、
居心地はとても良いです!
投稿者: やまうら | 2010年1月18日 09:40
今度新宿に出るときにでもまわってみようかなあ。
投稿者: 河野
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2010年1月18日 10:19