ネットクチコミ座談会(その7)

クチコミマーケティングは広告なのか、広報なのか

河野「そもそもクチコミマーケティングって広告なんでしょうか。広告の定義とか広告の測り方でクチコミっていうものを見ると、短期で何らかの数字を出さなくちゃいけない。そうなると手っ取り早くブロガーを呼んで書かせたり、百円で記事を書いてもらったりとかそういう話になります。でも、それをやっている限り、必ず倫理的、道徳的な問題が付きまとうでしょう。クチコミって広告よりむしろ広報に近いと考えると、単発ではなく小さいコストを数年間ずっとかけ続けるほうがその会社にとっていい結果に繋がるんじゃないかって思うんですよ」

アカレン「さっきのゲームを十ヵ月後に買ったということを考えても、これってプロモーションを仕掛けた人が十ヵ月後に得た成果なわけでしょう。それを三ヵ月間の成績だけでダメだと評価されるのはあまりにもかわいそうだと思います。今の成果指標っていうのは三ヵ月後でどうとか、判断基準が厳しすぎる気がします。もうちょっと長い目で見ていいのではないでしょうか。すでに話が出ているようにクチコミっていうのはもっとブランドの話と繋げるべきだと思っていて、それこそ二年や三年ってスパンで考えればいいもので、数ヶ月程度のトラックバック数で判断すべきじゃないと思う。そう考えると、単発プロモーションとしてのブロガーイベントにはあまり効果はないんでしょうね」

河野「クチコミを広告として語っている限りは一生前に進まないというか、同じところを回り続ける気がしますね。最初に言ったように、消費者にもブロガーにも広告主にもダマされ続ける人はいるし、すべての代理店が悪というわけじゃないけどダマす人たちのビジネスチャンスが常にあるわけです。それはそれで認めざるをえない現実なんだけど、本当にその企業がハッピーになるためにはもっと長い目で見なきゃいけない。そして長い目でつきあうためには広告として捉えちゃうとそもそも無理なんじゃないか、と思ってます」

アカレン「広告主側もちょっと考えをあらためるべきだと思いますね。売上をもっと伸ばしたいとか、業績が下がっているときに一発逆転を狙いたいとか、クチコミに頼りすぎてる気がします。でも、売上が増減する要因ってそれだけじゃなかったりするでしょう。ターゲット層が減少しているのかもしれないし、競合企業が増えたのかもしれない。そのときに、市場での評価ってたいして変わりはないんですよ。評価が落ちたから業績が下がってるわけじゃない。そんな状況下でクチコミのプロモーションをやっても業績が回復するわけないですよね」

河野「広告と広報というのがものすごく混在してきているな、ということをここ最近考えています。実際にはぼくはこれまで勤めた企業で両方見る立場が多かったから余計にそう感じるんですけど、広告頭で考えてるのか広報頭で考えているのか、どっちかよくわからない話が増えていますよね」

アカレン「全体をもっと包括的に捉える必要がありますね。単に広告でどうにかなると考えたいんですけど、なかなかそうはいかない。宣伝だけではなく商品力を強くするとか、そういう企業努力をきちんとPRするとか。そうすれば会社のことを話題にしてくれる人も増えるでしょうし」

河野「ブランディングするときでもPRで認知を高めたりすることもあれば、広告を出稿することで世の中にアピールすることもあります。いつも両方が頭の中になければいけないですよね。これからはますます広報と広告が一体化、混在化していくと思います。ただ、日本の広告業界、広報業界を見ても、まとめて面倒見てくれる人はいないんですよね」

ガッチャ「代理店で全体像を把握している営業ってすごい少ないんですよ。ネット広告の予算は五百万円だからって言われて、『ほかは?』って聞くとわからない」

河野「広告代理店を呼べばメディアプランばっかりだし、PR会社を呼んだら『イベントやりましょう』としか言わない。両方を組み合わせて最大の効果を出しましょうって提案が出てこない。広告と広報の領域を飛び越えて提案できる人たちがいないのは問題ですよ」

ライダー「まずオリエンテーションが下手な広告主が多くないですか」

ガッチャ「広告主側からすればもっと質問してこいよってことなのかもしれないですけどね。長期的にということでは、代理店にも悪いところがあって、短期で取れるだけ取ろうという発想になったりするのはまずいですよね。とくにネット系の代理店の場合、離職率が高くて担当者が頻繁に変わるとか、そういう問題もありますね」

アカレン「本来は広告と広報を包括的に考える頭っていうものを企業側が持っていなくちゃいけないと私も思います。ただ、常に広告を出稿し続けるわけじゃないので、自分たちで考えることを放棄して、必要なときに代理店に頼るほうが経済的にもいいと判断しているかもしれません。本当はその形が良くないと思うんです。広告主側にも落ち度はいっぱいあって、中小企業の場合は人が少ないっていうのがそもそもの原因なんですけど、やっぱりこのままじゃいけないですよね」

(まだ続きます)

株式会社プレックスから発売されているフィギアを利用させていただきました。
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