ネットクチコミ座談会(その8)

広告主も代理店も変わらなければならない

河野「広告主にとって一番いい結果を出そうと思ったら、広告も広報も、もちろんクチコミも全部使えばいいんです。最適な組み合わせで。商品と消費者をどうやって繋いであげるかとか、どうやってメッセージを届けてあげるかとか、本当はそれが問題のすべてなんだけど、そうじゃないところで問題が出ている。例えばうちはPR会社だからヤフーのバナーは買えないとか、うちはイベントやったことがないからイベントはとりあえず提案内容から外しましょうとか。自分にできることとか自分のやりたいこと、その代理店の社内事情も含めて、提案内容がどんどん理想からかけ離れたものになってしまう。それを見抜けない広告主にも問題はあるかもしれないし、オリエンテーションの下手さがそもそもの原因かもしれない。ここのミスマッチというか、うまくいっていない部分を解消するには、まず広告主が変わらなくちゃいけないし、代理店ももう少し広い提案ができるように変わらなくちゃいけない。そうなったときに新しいプロモーションやマーケティングが生まれるんだと思います」

アカレン「広告主側って自分たちしか見えていないから、世の中に発信すればみんなが聞いてくれると思いがちじゃないですか。実際には情報が多すぎて、誰も聞いちゃいないのに。だけど何かやれば聞いてくれると思っちゃうんですよ。自分たちが広告を出稿すれば成果が数字として積みあがると考えちゃうけど、せいぜい認知度が上がるくらいの効果しかないんですよね。ここでまず食い違っている。それと、代理店から『売上が増加します』っていう幻を見せられちゃうのも問題です。まずそんなことは起きないのに。もしかしたら話題になるかもしれないけど、ほとんどのケースではそんな魔法は起こらない。それくらいの感じでいないとダメなんだと思います。クチコミって効果はあると思うんですけど、自分たちが想像しているほどの効果はないってことをちゃんとわかってないといけませんね。過度な期待をしちゃいけないですよ」

ガッチャ「期待させるかどうかは人によりますね。とりあえず相手が納得すればいいという考え方もあるにはあるでしょう。結局ウソかもしれないけれど、その誤差ってほどほどじゃないですか。その『ほどほど感』が正しく伝わっているかといえば、伝わっていない可能性は大いにあると思います。たまたまうまくいっただけの事例なのに、代理店がさもすべてのケースがそうであるかのように説明する。私もそれは良くないと思っています」

アカレン「そうですね。代理店の方はそういうことを言われるし、この人に頼めばすごいことになるんじゃないかって誤解してしまいますね」

河野「その代理店が得意げに話している数少ない成功事例ですが、それを雑誌などが取り上げるわけです。ものすごく煽った記事なんだけど、それがまた誤解を大きくしている。悪循環ですよね。その結果、ありえないくらいの期待値を広告主側が持ってしまっている。『日経MJ』とか『宣伝会議』の責任は大きいと思いますね。まさにバブルですよ」

ガッチャ「特定の手法が流行るときはそんな感じですね。現実の話、営業が煽って売ってきた広告主は二度とやらないことが多いです。どうしても期待が大きすぎるので、多少効果があっても裏切られたと思ってしまわれますから。そういうことをこれまで何度も見聞きしているので、私自身はこれを繰り返すのは良くないと思っているんです。でも現場の営業からしてみれば、ノルマもあるし、形はどうあれ売上を上げればほめられますから、今すぐやめるのは難しいですね。広告主の担当者にしても、三年後に効果があるという話に興味を持つかどうかわからないですし」

河野「大半の担当者は示さないでしょうね。三年後の結果で昇進は決まらなくて、三ヵ月後の結果で昇進が決まるので。この問題を解決できるのは会社の上層部から変えるしかなくて、広告主側の経営陣の意識を変えて、評価の軸を変えるしかないですね。責任者が担当者に『三ヵ月後の成果ではなくて3年後を見据えてやれ』と言わない限り、現場としては超短期でしか動かないですよね。中長期に視野を変えるには偉い人が言ってあげるしかないでしょう。そうなったときに初めて代理店側も変われるかもしれない」

アカレン「私は代理店が打ち上げ花火のようなプランを持ってくるのがいやですね。バンと机を叩いて『二度と来るな』って言いたくなります。派手なキャンペーンだけが提案だとは思わないですし、もっと地に足の着いた提案が聞きたいです。私は広告主側の中ではわかっているほうだと思いますけど、そういう人も世の中にはいるから、わかっていない人向けの煽ったプランだけ持ち歩かなくても仕事が取れるかもしれませんよ、ということは言っておきたいです。いい代理店となら腰を据えてつきあいたいですから」

河野「なるほど。今日は現場の方に集まっていただいたので、別の視点を発見することもできました。広告主、広告代理店、PR会社とも、現場ではなく、上司・経営者の変化が必要ですね。ネットクチコミだけでは売上を左右するようなブームはまず起こらないことも確認できたし、その一方で顧客とのコミュニケーションという観点でのイベント実施などは可能性もありそうだと感じました。今後のクチコミマーケティングは、長期的なブランド構築まで見据えたプランを、広告主と代理店が協力して考えていけるかがポイントになってくるでしょうね」

河野「あらためて、本日はお集まりいただきありがとうございました」

一同「ありがとうございました」

end

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